レビュー

ジョン・ベル・ヤング
アメリカン・レコード・ガイド
チャイコフスキーの5つの楽曲に対するボリス・ベクテレフの解釈は、魅惑に満ちている。この5曲だけを収めたアルバムがあれば、私はそのアルバムを愛聴してやまないだろう。彼の手によって、たとえば「はじめての出会い」(“The First Meeting”)や「騒がしい舞踏会の中で」(“Amid the Din of the Ball”)は、どのようにその姿を変えるのだろうか。その成り行きについては見守ることしかできないが、少なくとも今我々は、メランコリックな「熱い灰の上で」(“Like on Hot Coals”)や、情熱溢れる「私の心をはこびゆけ」(“Take My Heart Far Away”)を愉しむことができる。この2つの楽曲に対する彼の解釈は、あくまで滑らかで、しかも感動に満ちている。それは、彼の解釈を愛するファンを十分に満足させ、かつチャイコフスキーの熱烈な信奉者たちを歓喜へと誘うに足るものである。

ニューヨーク・ポスト紙 - アメリカ
Robert Kimball
Boris Bekhterev - 類い希なる才能の持ち主。

ニューヨーク・タイムズ紙 - アメリカ
John Rockwell
Boris Bekhterev の伴奏は、卓越したピアニズムによってその曲を極めて精密に補完していた。

Sovetskoe Iskusstvo - ロシア
A. Nikolaeva
Boris Bekhterev の演奏によって、すでにそこには存在しないもの - 作曲という行為を構成するさまざまな要素が明らかにされる。彼と音楽とのごく自然な関わりあい、すなわち彼が音楽の持つメッセージを伝えるために駆使する彼独自の有機的方法。それは聴く者にまるで彼が自分自身の作品を演奏しているかのように思わせ、彼の楽曲に対する解釈を特別なものたらしめ、聴衆を惹きつけてやまない。彼の細心かつ精妙な表現は、彼自身と音楽との関わりの中で生み出される。Boris Bekhterev の演奏に見られる明快さや単純さは決して意図したものではなく、彼の真実を看取する才能の為すところであり、それがある種の倫理感を生み出している。モーツァルトやシューマン、そしてとりわけ彼にとって自らの分身であるかのようなショパンに対する解釈から生み出される感情、それは「真実への切なる想い」に他ならない。

Il Resto del Carlino - イタリア
Federico Gerberoglio
彼の並外れた「熱情」、定評ある演奏技術、鋭敏な感受性は、文字通りそのとき Church of Pomposa を埋め尽くす聴衆のこころを駆り立てた。演奏後の熱狂的なスタンディング・オベイションに対して、このすばらしいアーティストは3回のアンコールで応えた。

La Nuova Ferrara - イタリア
A. Tromboni
Boris Bekhterev の指先から生まれるメロディーとハーモニー。決してくずれることのないそのバランスは、我々を驚嘆させた。その絶妙のバランスを保ちながら彼は、一切の不協和なく、力強く重々しい低音域から中高音域まで自在にコードを展開した。やがて演奏が終わり、彼は熱狂的な「ブラボー!!」の声に3度のアンコールで応えた。聴衆がピアノ独奏に対してこれほどまでに熱狂するのは非常に稀であるが、彼の演奏はそれを十分に納得させて余りあるものであった。

Der Tagsspiegel - ドイツ
Walter Kempfer
近年このベルリンで演奏会を開いたロシア人演奏家の中でも、Boris Bekhterev は真に魅惑的である。聴衆の前の彼は気高く、ほとんど貴族的であり、その姿は如何なるかたちの自己顕示も排そうという彼の明らかな意志とよく調和していた。... まさにその同じアダージオ(ベートーベン・ソナタ第2番ニ短調 op. 31) において彼は自らの卓越性をはっきりと顕わし、聴衆を魅了する精神の激しさと熱烈な情感を表現した。2つのマズルカ (op. 63) とポロネーズ(嬰ヘ調)の演奏は、まさにショパンの音楽の極めて正統な解釈であった。